大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和44(あ)2701 決定

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

弁護人渡辺良夫、同宇津泰親の上告趣意第一点について。

原判決は、A労働組合東京支部が事業主体である東京都に対し団体交渉を求める

権利を有していること及び被告人らが同支部を代表し東京都に対し適法な交渉事項

につき団体交渉を求めるため本件当日東京都庁第二本庁舎に赴いたことを認めたう

え、東京都側が庁内における正常な業務が阻害されるおそれがあると判断して右の

団体交渉の求めを拒否したことは正当であるとしているのであるから、失業対策事

業労働者の賃金額は適法な団体交渉事項に含まれない旨の原判断及び緊急失業対策

法(昭和三八年法律第一二一号による改正前のもの)一〇条二項が合憲であるか否

かは、いずれも原判決の右結論に影響を及ぼすものでないことが明らかであつて、

所論違憲(二八条、九二条違反)の主張は、刑訴法四〇五条の適法な上告理由にあ

たらない。

同第二点について。

所論は、事実誤認の主張であつて、刑訴法四〇五条の適法な上告理由にあたらな

い。

弁護人渋田幹雄の上告趣意第一点について。

所論は、違憲(二八条違反)をいう点もあるが、実質はすべて単なる法令違反の

主張にすぎず、刑訴法四〇五条の適法な上告理由にあたらない。なお、原判決及び

その維持する第一審判決の各判示によると、昭和三六年三月二八日午後二時頃から

前記支部組合員ら約三〇〇名が東京都庁第二本庁舎内の廊下に坐り込み、うち約一

〇〇名が同支部書記長らと東京都労務課長とが折衝をしている労務課室に入り込ん

で同課長を取り囲み、室内における職員らの正常な執務を妨げ、午後六時頃庁内管

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理者から退去命令が発せられるに及んで同六時一五分頃退去するという事態があり、

同月三〇日午前一〇時頃にも、同支部組合員ら約八〇〇名が、右第二本庁舎前に集

合し、二八日の事態に抗議するなどの行動にでたことから、東京都側は、同月三一

日当日も二八日あるいは三〇日の際のように数百名の組合員らが右第二本庁舎に押

しかけ、場合によつては二八日の際のように庁内における正常な業務が阻害される

事態となるおそれがあると判断して、同支部組合員の庁内立入りを禁止し、同支部

からの団体交渉の求めを拒否した、というのである。このような事情のもとにおい

ては、東京都側の右立入り禁止及び団体交渉の拒否は、いずれも正当なものという

べきであり、被告人らが立入り禁止を無視して庁内に立ち入ろうとし、これを阻止

する監視らに対し第一審判決の認定するような暴行を加え、傷害を負わせた行為は、

違法というほかなく、これと同旨の原判断に法令違反の点はない。

同第二点について。

所論は、違憲(二五条、二七条違反)をいうが、所論の点に関する原判決の判断

がその結論に影響を及ぼすものでないことは、弁護人渡辺良夫、同宇津泰親の上告

趣意第一点につき判示したとおりであつて、所論は、刑訴法四〇五条の適法な上告

理由にあたらない。

また、記録を調べても、同法四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて、同法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主

文のとおり決定する。

昭和四九年二月二二日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 天 野 武 一

裁判官 関 根 小 郷

裁判官 坂 本 吉 勝

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裁判官 江 里 口 清 雄

裁判官 高 辻 正 己

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